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中橋愛生(NAPP)の不定期日記
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 先日、三鷹市芸術文化センター「風のホール」で私の新作「風に寄せて」の初演がありました。合唱曲を音にするのは初めてだったので、私もドキドキしながらの演奏会。
 初演はなかなかよかったと思います。練習の時は正直、ディナミクスレンジの幅の狭さが気になっていたのですが、本番ではかなり幅のある演奏でよかったと思います。ほか、全ての面で本番の演奏が一番よかったですね。あちこちにソロのある曲なのですが、なかなかチャレンジャブルな(笑)音域設定の、お世辞にも簡単とは言えないソロを、本番では歌い切ってくれていました。ソリスト各位に感謝。

 曲としては三和音を基調として、様々な特殊唱法も時折交える、というもの。得てして現代音楽的な世界に馴れていない人たちに歌ってもらう、ひいては現代音楽的な世界に興味を持ってもらうにはどうしたらいいか。そういうことを考えながら書いた曲でした。
 「現代音楽は聴衆を無視している」というのは全くの出鱈目であると思うのですが、確実に言えるのは、多くの現代作品は「アマチュアの奏者を無視している」ということ。高度な技術を要する特殊な奏法というのは、演奏する機会をアマチュアから奪ってしまうものになりかねない、というのはあまり問題にされないことです。しかし、この種の音楽への興味を誘うには、実は聴いてみるよりはやってみることのほうが近道だったりするわけです。もっとも、技術的制限が音楽的内容に影響を及ぼしてしまってはいけないのですが。
 で、今回はそれほど難しくない範囲で特殊な奏法や拍子、リズム、不確定性などを取り入れつつも、要所要所は三和音で収める、という作品にしてみたわけです。もっとも、三和音の連続、とは言っても、その連結は特殊なものではあったのですが・・・・・ ともかく、「入門編」としてはよい作品に仕上がったかな、と自賛しています。団員の皆さんも全員ではないと思いますが、この種の音楽を気に入って頂けたようで、嬉しかったです。
 「アマチュアでできる現代音楽」を開拓していかないと、音楽界を支える底辺は存在しえない。そのことを強く考えた今回の演奏会でした。

 合唱を書く、ということに関しては、とにかく「日本語の処理」の問題を私なりに考えてみました。日本語のイントネーションに則して音の上行・下行を処理する、というのは基本なわけです。しかし、既存の合唱曲を見てみると、コラール的な部分になると上声部は確かにそのルールを遵守しているのですが、バスがそれに反行するために、その声部ではイントネーションが崩壊している、というものが少なくありません。全声部において自然であること。これが今回の課題でした。
 終わってみて強く感じたのは、日本語での合唱曲(それも無伴奏)で、「アレグロを書く」ことの難しさでしょうか。むやみな単語の反復は避けないといけないのは勿論ですし、器楽的な感覚で書くと、どうも上手くいかないんですね。ここらへんは今後の研究課題になりそうです。

 そのうち、また合唱曲を書いてみるのも面白そうだな、と思いました。まだまだやってみたいこと、ありますし。

 蛇足ながら、合唱の打ち上げには初めて参加しましたが、吹奏楽と違った雰囲気で面白かったです(笑) そうか、「らいちゃり」(Ride the Chariot)、ね。いつでもどこでも合奏ができる、というのは、最大の強みなのかもしれません。
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NAPP
年齢:
45
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性別:
男性
誕生日:
1978/06/19
職業:
作曲家、のはず
自己紹介:
作曲家。
東京音楽大学・非常勤講師(作曲)。
NHK-FM「吹奏楽のひびき」担当。
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