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中橋愛生(NAPP)の不定期日記
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フレデリック・フェネル博士が90歳で亡くなられたそうだ。もうお歳なのだからこの日は近い、とは思っていたが、いざその日となるとやはり哀しい。
兼田敏の逝去の際にも書いたけれど、故人の偉業を今後に活かしていけるか、また、忘れ去るという愚挙とならないように努めるのが遺された者の使命だろう。
フェネルといえば「ウインドアンサンブル」だけれども、この概念にしても正確な形で理解している人がどれほどいるかは怪しいものだ(かく言う私だって自信がない)。それを浸透させよう、という意思をなお持ち、実際に活動を行っている人は、いったいどのくらいいるのだろう?図らずも昨日ガレリアウインドの会議で「ウインドアンサンブルは理想論なのか」という議論をしたことを思い出す。私は決して「ウインドアンサンブルの信奉者」ではないけれど、実現できればこの上なく理想の演奏形態であることには同意する。
フェネルの「タイム&ウインズ」や対談集「MUSIC!」、イーストマンの「The Wind Ensemble and its Repertoire」をよく読むと、フェネルでさえも「自身のやりたいこと」と「教育の現場」あるいは「現場のニーズ・要求」の狭間で苦悩していたことがよく分かる。フェネルを賞賛していた人々でさえ、フェネルに活動の自由は与えなかった。それは周囲の期待には極力応えようとするマエストロの優しさなのかもしれないけれど、私は「フェネルのやりたかったこと」が本当は何だったのか、それを実演という形で聴いてみたかった。
結局私は一度もフェネルにお会いすることはおろか、ただの一回の実演にすら接する事ができなかった。このことは私にとって一生悔やまれることになるだろう。残念だ。ただひたすら残念だ。
ただ一つ自信を持って言えるのは、私も紛れもなくフェネルの影響を受けた一人である、ということだ。私が「最後の世代」とならないことを切に願う。

マーキュリーレーベルのCDに収録されている、フェネル指揮・イーストマンウインドアンサンブルによるホルスト「第一組曲」のシャコンヌを聴きながら、深く哀悼の意を捧げます。いってらっしゃい、マエストロ。
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NAPP
年齢:
45
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性別:
男性
誕生日:
1978/06/19
職業:
作曲家、のはず
自己紹介:
作曲家。
東京音楽大学・非常勤講師(作曲)。
NHK-FM「吹奏楽のひびき」担当。
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