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中橋愛生(NAPP)の不定期日記
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 昨日・今日と、キングレコードの「吹奏楽による伊福部昭」(仮)の編集に参加。先月に陸上自衛隊中央音楽隊で録音したやつです。曲は「吉志舞」「交響譚詩」「シンフォニア・タプカーラ」「SF交響ファンタジー第1番」の4曲。「吉志舞」は「黒船以来」に収録した東京音大によるものとかなり印象が違うので、その違いをお楽しみに。発売は4月だそうです。

 〜〜

 前々々回「のすたるじ〜」の続き。

 iPodに入れる前にはiTuneに放り込むわけで、その際に色々と情報を入力します。私は外国の作曲家の場合はタイトルや作曲者名は原語で書き、さらに作曲者名の後には生没年も書くようにしています。
 そのデータを見る為にCDのインナー解説を引っ張りだすのですが、色々なCDでデータの重複があることに気づきます。この場合の重複というのは「書いてないこと」の事です。同じ曲に対する解説の場合、まぁ、同じ人が書いている場合に同じ内容になっていることは普通だと思うのですが、違う人が書いている場合でも、データ的なものの揃い方というのがどのCDでもほぼ一致しているのです。
 思うに、まだインターネットというものもなかった当時、基本データの情報源というのは限られていました。吹奏楽の作曲家のように文献に登場する機会がほぼ無い上に、ほとんどが直接交流を持っている人が(まだ)少なかったアメリカの作曲家。秋山紀夫先生のような現地に馴染みの深い人ならいいのですが、そうではない人物が解説を書こうと思った場合、既存のCD(もしくはレコード、か)の解説に頼らざるを得なかったわけです。そうなると、当然不明な点というのは不明なままにしておかざるを得ないのですね。そうなると、執筆者による解説の違いをつけようとすると、データ以外の部分では「感想文」と「演奏のポイント」ということになってしまう。他のジャンルに比べて一種独特な「吹奏楽CDの解説」のスタイルは、こうして確立されていったのかもしれない、と思ったわけです。
 逆に言うと、今は誰でも頑張ればある程度の基礎的データを収集することができる。こうなると一昔前のCD解説のような文章は、極端な話、誰でも書けちゃうわけですね。現実に、私のようなペーペーが解説を書いてることがあるわけですし。こうなると、解説書きを本業にしている人たちは、大変です。今まで求められていたのが「基礎的データを収集する能力」だったのが、いまや「基礎的データを使える能力」に変化するわけですから。

 と、そんな堅い話を考えたきっかけになったのは、エド・ハックビー。どのCDを見ても生年が記載されていなかったのです。で、実はネットで検索してみても、かなり調べてある某研究機関の吹奏楽データですら「生年不明」になっていたりする。他のサイトから、おそらく1948年生まれだろう、ということは分かったのですが、イマイチ確証が持てなかったり。今度、ハックビーの作品集でも買ってこようかな。中学の頃にやたらと吹かされた「アクラメーションズ」の音源が家になかったし(やっぱりノスタルジアを引きずっている私)。
 そういえば、作曲者名や原題を調べようとすると、他にも気になることがありますね。例えばJ.プロイアー(James D. Playhar)の「スー族の旋律による変奏曲(Variations on a Sioux Melody)」。この曲は割と日本ではメジャーな曲、ですよね?(って、今の若い人は知らないか) googleで「タイトル+作曲者名」で検索すると、日本語では71件ヒットします。ところが、英語では24件しかヒットしません。日本のほうがヒット数が多いんですね。もっとも、コンクールの記録がヒットすることが多いので一概に「検索結果=知名度」としていいものではないと思いますが、「evergreen」(by SONY)と言われている割には本国ではそれほどの扱いではない、らしい。昔は今ほど海外からの曲の輸入が激しくなかったので、たまたま持ち帰られた作品が有り難がられて、日本では「名曲」と祭り上げられてしまっただけなのかもしれません。(もしくは企業の戦略に踊らされただけなのか) そう考えると、いわゆる「名曲」が本当にアメリカでも「名曲」なのか(だったのか)、実は疑わしいのかもしれません。私はアメリカのスクールバンド事情には全くと言っていいほど疎いのですが、日本で「基本中の基本」と言われることまであるコウディルの「バンドのための民話」なんかが、もしかしたらアメリカでは誰も知らないような曲だったらどうしよう・・・・・とか思ったりします。(ちなみに試しに検索をかけてみたら、「バン民」は確かにアメリカでの知名度も非常に高いらしく、一安心)

 なんだかんだ書きましたが、「のすたるじあ」に浸るには、その曲が(音楽的に)いい曲かどうかや、知名度が高いものなのか、なんてことはあまり関係がないことだったりします。大きな要因はその曲自体にではなく、それが「いつ、どんな形で個人と関わったか」なのですから。
 そうした「郷愁」に浸りたくて、懐かしい曲を聴くのも、いいではありませんか。ええ、私だってたまには昔やった曲を聴きたくなりますよ。ただ、何度でも書くけれど「好きな曲」と「いい曲」は違う、ということ。「好きだから」という理由だけで「名曲」としてはいけません。
 と言う事で、長いことJ.スピアーズの「New River組曲」の音源を探しているのですけど、見つからない・・・・・バーンハウスのデモ音源のテープしかないのですかね・・・・・?あれ、CDで手に入らないのかなぁ・・・・・

 〜〜

 写真は、分かる人には分かる(笑)
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無題
「吹奏楽CD発売予定(3月-4月)」

春先は吹奏楽コンクールの選曲用の所謂「名曲選」が多く発売される時季。昔は、ソニー・東芝EMI・ファンハウスなどから次々に発売されていて財布のなかがすっからかんになったものだった…。

この先、発売が発表されているもののなかから注目盤を。

◆埼玉栄高等学校吹奏楽部「青春譜」(DVD)
【Brain BOD-3018】3/10発売予定 予価¥4,700-
吹奏楽コンクールでの演奏(1997-2003)と定期演奏会での演奏を収録
あら?1992-96の演奏は?

◆CAFUAセレクション2005 吹奏楽コンクール自由曲選「エブリデイ・ヒーロー」
【CAFUA CACG-0065】3/16発売予定 予価¥2,800-
Variations on a Hymn by Louis Bourgeoisが収録されるそう。

◆伊福部昭 吹奏楽作品集(仮)
【KING KICC-531】4/27発売予定 予価¥3,000-
サウンドマップのサイトで発売を知ったのだけれども、収録曲未定になっている。
NAPPさん(作曲家の中橋愛生さん)のブログによると、
・吉志舞・交響譚詩・シンフォニアタプカーラ・SF交響ファンタジー第1番
が収録される、とのこと。おおっ!やっと収録されましたか。タプカーラとバラッタは前から吹奏楽版の音源出ないかな〜と思っていたので、間違いなく買う(笑)。

他にも例年だと大阪市音楽団のNew Wind Repertoireも出そうだし……。やっぱり懐が寂しくなる春なのでした…
おがりんのお気に入り〜★ URL 2005/02/28(Mon)02:04:00 編集
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プロフィール
HN:
NAPP
年齢:
45
HP:
性別:
男性
誕生日:
1978/06/19
職業:
作曲家、のはず
自己紹介:
作曲家。
東京音楽大学・非常勤講師(作曲)。
NHK-FM「吹奏楽のひびき」担当。
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