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中橋愛生(NAPP)の不定期日記
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 今朝、九州で大きな地震。私は佐賀に住んでたわけですが、地震らしい地震なんて体験したことありませんでした。なので、今回の震度6というのはビックリ。幸い、実家は無事だったらしい。いや、最近は大きな地震が多いですね・・・・・


 さて、今日は響宴に行ってきました。前回載せて頂いて早や一年。早いものです。
 今回はお客さんとしてお邪魔。前回出品者なので招待状を頂き、ラッキーと思いつつイソイソと出かけることに。着いたら、用意して頂いていた席は、意表を突いて作曲者席のド真ん中でした。何故・・・・・?

 感想としては、印象に残った曲について軽く触れる程度で。

 寺井尚行「Thread」は、愛知県立芸大の吹奏楽授業の教材として書かれたそう。小編成の管楽アンサンブル的な響きがして非常に興味深い作品。久しぶりに「小編成でもできる」ではなく「小編成のための」作品を聴いた気分。音楽的にも、速度の違う幾つものセクションが重層的に存在する、という面白いもの。ただ、ちょっと短かったのが残念。本格的にこのスタイルで書かれたものをもっと聴いてみたいと思いました。

 三浦秀秋「Salty Music」は、オーネットの影響下にあると書かれている通り、ジャズイディオムが盛り込まれた作品。チューニングかと思わせておいて唐突に曲に入る冒頭部が面白かったけど、後ろから見ていた限り観客の反応はイマイチ。みんなプログラムに読み入っていたのか?曲全体としては真島俊夫「ミラージュ I 」に近い感じ。現代語法とジャズの雰囲気の融合作品。ポピュラージャズを学ぶ一方で現音のコントラバスフェスタに公募出品するなどの多方面に渡る作曲者の興味が、惜しみなく凝縮された感じで、まさに彼が「書きたかったもの」が炸裂した感じで好感が持てました。昨年の響宴出品作品「ファンファーレ III 」に比べて、かなり「吹奏楽的な」オーケストレーションへの歩み寄り(いい意味で)が見られたような気がします(と、本人には言った)。個人的には今後に注目している作曲家の一人。

 飯島俊成「枯れ木のある風景」は、吹楽III で初演されCD販売もされているので、既知の作品。思えば私が「音響的吹奏楽作品」に惹かれるようになったのは、飯島氏の「夢の花、幻の花」とこの曲がきっかけだったわけで。この曲の要となるのは、大きく分けて二項に分類される音色の対照。音色のコントロールを更に際立たせることのできるプロの演奏でも聴いてみたいところです。

 坂井貴祐「アプローズ!」は、2分ほどのアンコールピース。この目的を達成するには十二分に相応しい、抜群の演奏効果を持った作品。ギャロップ的な作品で様々な楽器に見せ所があり、非常にスリリングで楽しい。埼玉栄高校の快演も気持ちよかったです。シロフォンに自信があるバンドは、是非。

 北爪道夫「シークレット・ソング」は、寺井作品と同じく愛知県立芸大の吹奏楽授業の教材として書かれたもの。そのため、やはり短め。オーボエとソプラノサックスのユニゾンによる「歌」が全編を通して奏され、他の楽器にその音響が伝播していく、という作品。「フェスタ」と「祈りの旅」のちょうど中間に位置するような曲想。それにしても、他にも愛知県芸の授業用に書かれた作品にはどんなものがあるのだろう、と興味がそそられます。

 田村文生「残酷メアリー」は、コンクールでの演奏の録音は持っていたのですが、今回は改訂版初演とのこと(プログラムには書いてありませんでしたが)。今回の響宴で一番よかったのは、やはりコレ。聴いた感じ難しそうに聞こえるのですが、楽譜を見ると意外にそう難しそうでもないので、ぜひ色んな団体にチャレンジしてもらいたいところです。ごく一般的なレベルの高校の委嘱なのですから(ちなみに、今年も武蔵越生高校のために新曲を書くのだそうで)。今回の響宴のプログラムに掲載されている文章も面白かったです。個人的に話がしたかったのですが、作曲者は来場せず。残念。


 作品として特に印象に残ったのは、上記6作品。今回は短い曲が大半で、その中でもマーチが多かったのが特徴的でした。また、どちらかと言えば穏やかな曲調の作品が多かったような印象も。それだけに際立った個性のある作品が全18曲の内にどれだけあったか、と言えば難しいところだと思います。結局のところ、印象に残ったかどうか、ということの拠り所は「吹奏楽である必然性がどれほどあったのか」ということに尽きると思うのです。少なくとも、私の場合は。

 時間があれば、もっと掘り下げてみたいのですが、締め切りが・・・・・(演奏会終了後、レセプションまで出て打ち上げには参加せずに帰宅しました) とりあえず、簡単な個人的備忘録的感想でした。
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 ご存知の方も多いと思いますが、尾高賞に望月京「クラウド・ナイン」が選ばれたそうです。昨年の「ミュージック・トゥモロー」には行けなくて、演奏はラジオでしか聴いていなかったので、もう一度聴ける機会ができたのは嬉しいです。あの曲は生で聴かないと分からない、と専らの評判でしたし。
 ところで、最新号のバンドジャーナルにJBA・下谷作曲賞の案内が出ていますが、その「賞の説明」として『「尾高賞」「芥川作曲賞」などに当たる』と書いてあります。となると、課題曲公募の朝日作曲賞は、「日本音コン」か「武満賞」か、はたまた「日本交響楽振興財団作曲賞」か・・・・・朝日賞が下谷賞より権威(というより影響力)があることを考えると、「尾高賞」は厳しいのでは・・・・・とくだらない揶揄を考えてみたり。
 周知のように下谷賞は今回から制度が変わり、昨年演奏された作品を音源と楽譜で審査し、受賞者には賞金と同時に新作の委嘱がなされる、ということになるそうです。とすると、「芥川作曲賞」が一番近いかな?新制度にした結果がどうなるのか、今後が注目ですね。

 さて、今日は東京佼成WOの第84回定期演奏会を聴きに行ってきました。今回はヨーロッパの人気作曲家の作品で構成された演奏会。
 個人的には、どうもヨーロッパの吹奏楽作曲家の作品は好きになれないんですね。部分部分を見るととても効果的だしドラマティックに鳴るので、それはそれで面白いと思うのですが、全体を聴くと、その各場面の連続性に非常に疑問が残ります。場面展開の必然性に欠けるというか、構成力に乏しいというか、ぶっちゃけ「思いつきで書いてるんじゃないか」感が非常に強い。今回、ヴァンデルローストの冒頭で独奏のオフステージでの開始は必然性が感じられなかったし、他のチェザリーニにしてもフェランにしても曲だけでは(ライナーがなければ)音楽的な転換の必然性が不明なままだろうし、意図を伝える為に使う音響が露骨すぎてBGMっぽい展開にしかならない。個々の場面の作り方にしても、破滅や闘いの描写に現代(っぽい)語法を使い、頂点で止めてコラールで締める、というのは安直じゃないのか?渾沌を描くために「渾沌とした書法」をしてしまったら、それは「破滅」ではなく「支離滅裂」にしかならないと思います。どうやって統制をとり、どこへ「持っていくか」をもうちょっと考えるべきではないか、と思った次第。現代語法での静かな表現、ってのも聴いてみたいですし。
 そんな中で、グレグソン「フェスティーヴォ」はソナタ形式を遵守しつつも、短いファンファーレとして効果的に鳴らすという目的を達成している点で、他の曲よりも際立って聴こえました。ここらへんはノーザンカレッジの学長は伊達じゃない、ということろですね。
 チェザリーニの「ブルー・ホライズン」はテープを使った形での演奏は初めて聴きました。人気のある曲なので言いにくいですが、言わせて頂きましょう。これって、ホヴァネス「そして神は大いなる鯨を創り賜うた」じゃないですか?私、チェザリーニは「コンヴァージェンツ」とか書いていた頃が一番光っていたように思います・・・・・
 ヴァンデルローストの世界初演となるバスクラリネット協奏曲「感傷的3章」。今日はこれを目当てに行きました。私だったらこの題材で書けと言われたら、果てしなく途方に暮れます(笑)。この編成でやはり一番気になるのは「独奏は聴こえるのか?」ということ。そこは、オーケストレーションが巧みなヴァンデルローストなのだから、きっと上手く書いているのだろう、と興味津々。ちょうど似たような音域の楽器のための協奏曲を書いてることだし、参考に・・・・・と企んだ次第。で、PAが用意されたときはガックシ。それは反則だよ・・・・・でも、実際にはマイクにはあまり音は通していないらしく、アンプリファイ感はほとんどなく、ほぼ生音に近い音だったので、あれは気休め程度の補強だったのかもしれません。確かにバンドの抑え方と、鳴らすべき場所での鳴らし方は、ツボを心得た熟達の技で流石。ヴァンデルローストの近作に見られる「なんちゃってゲンダイオンガク」的書法は正直感心しないのですが、今回の曲ではそれはほとんど見られず、ヴァンデルローストの一番「いい」部分を聴けたのではないかと思います。二楽章の終盤なんかは、とても興味深い響きがしていました。 それにしても佼成は以前にも「コントラバス協奏曲」とか委嘱していましたが、この手のチャレンジャブルな協奏曲が好きなのでしょうかね?四月に演奏するのは松下功「三味線協奏曲」だそうですし。
 最後はフェランの交響曲第二番「キリストの受難」。実はこれまでに全曲版を聴いた事がなく、今回初めて聴きました。これまではコンクールで抜粋版を聴いただけで、それでは「???」な曲だったので・・・・・先にも書いた通り、ライナーを読まなければ展開の必然性が不明な点が多いのですが、逆にライナーを読みながらだと実に描写的に書かれていて「字幕付きで聴きたい」と思わせる曲だと感じました。とにかく劇的に・圧倒的に鳴る曲。つなぎはともかく、各場面の閉じ方には色々な趣向が凝らしてあってオーケストレーション上の興味をひきました。
 総じて、ヨーロッパの作曲家は劇的に部分を創ることには長けているけど、構成力がないんだな〜、という認識を新たにした演奏会でした。
 ちなみに私、ボストックの指揮、かなり好みです。

 今日は、よく会う方、久しぶりに会う方、初めて会う方、と多くの方に会えたのが収穫でした(いつも紹介してくれるTさん、ありがとうございます!)。あと、芸劇であると、楽でいいです(笑)
今日は国立音大のシンフォニックウインドアンサンブル第33回定期演奏会を聴きに玉川上水まで足を運んでみました。
やっぱ国立音大は大学っぽくていいな〜、と日本一狭い大学に勤める身として率直な感想。ではなくて・・・・・

 まずは「カプリス」「カタストロフィ」「古祀」と保科作品を三つ。いずれも「1970〜80年の邦人吹奏楽曲」の有名曲なのだし、私もよく聴いた曲なのだけど、生で聴ける機会になかなか恵まれない。考えてみればこれは貴重な経験。「古祀」にハープが入っていたところをみると、これは作品集の録音の折に作られた改訂版での演奏だったのかな?とすると、気づかなかったけど「カタストロフィ」も改訂版?
 続いては委嘱作の天野正道「ティンパニ協奏曲」。先月末に天野先生にお会いしたとき(完成の翌日だったと聞いている)に「冗談音楽だから」と言われていて、興味津々で聴きに行った次第。ソリストがティンパニを11台使用する、というこの曲は、天野作品での系列的には「コンチェルト・グロッソ」に近いか。こういうイレギュラーな編成を要求されたら私はどんなアプローチをするのかな、とか考えてしまいました。
 休憩後に芥川也寸志、團伊玖磨、黛敏郎の「3人の会」の吹奏楽作品を集めた注目の企画。まずは芥川の「栄光をめざして」と「風に向かって走ろう」。分かっていても、やはりこの二曲を続けて演奏されると笑ってしまう(これと同じようなことは團の行進曲でも起こるのだけど)。やはり痛感するのは解説にも書いてあった通り芥川にもっと大規模な作品の委嘱がなされなかったという事実の惜しさ。他の二人の作品と並ぶとそれがより一層感じられる。
 團作品は「オリンピック序曲」から。かねてから聴いてみたいと思っていた一曲。高らかなファンファーレ、4台のチューブラーベルの使用、フーガ的な展開も部分的に使用、となかなか凝った作品なのだけど、どうも部分部分の繰り返しの多さと、継ぎはぎ的な構造が気になる。これは演奏のせいかもしれないのだけど、どうなのだろう? それに対し、やはり「行列幻想」という曲は、團の吹奏楽曲のなかでは群を抜いてよく出来てると思います。これも生で聴いたのは初めて。
 国立音大の黛は、CDに録音されていた「打楽器とウインドオーケストラのための協奏曲」がなかなかよかったので期待して聴いてました。アメリカン・ウインドシンフォニーの「ポイント・カウンターポイントII」(船の名前)について触れた解説は珍しく、それを踏まえ、佼成の黛作品集では省かれていた花火の音をテープで流した「花火」。ちょっとPAがお粗末だったかな?試みる意欲は買います。  続くトーンプレロマス55は、生で聴くのは2回目。演奏はこの曲が一番がんばっていたような。ところどころミュージカルソゥが埋もれてしまうのはやむを得ないのか。

 とにかく、国立音大はシンフォニックウインドアンサンブルにしてもブラスオルヒュスターにしても、そのプログラミングが毎回とてもいいですね。洋の東西、吹奏楽作家・非吹奏楽作家の違いを問わず(どちらかに偏向せず)に重要な作品を「体系的に」取り上げ、なおかつ新作の委嘱も積極的に行う、という活動は本当に素晴らしい。「音楽大学のなすべき吹奏楽」を実践しているのは、今のところこの大学だけだと思います。この路線はプロのバンドのなすべきことともちょっと違う、まさに研究機関・教育機関でしかできないこと。他の大学も見習わなければいけませんね。
 毎年恒例の全音出版社による「四人組コンサート」を聴きに津田ホールへ。今年は「声+1の夕べ」ということで、歌曲モノ。鈴木淳史「クラシック悪魔の辞典」をテキストにした南聡作品はコンセプトに惹かれました。けど、疲れてたんです。ちょっとだけ記憶が飛んでる・・・・・
 今日の演奏会では、何と言っても西村朗先生の作品を歌った藍川由美さんの歌唱が圧巻でした。20分近い大作(しかも初演)を暗譜で完璧に歌いきる、迫真の演奏。私、歌、それも独唱って、どちらかと言うと好まない人なのですけれど、今日の藍川さんの歌は背筋がゾクゾクしました。凄い。
 池辺晋一郎先生の新作はカウンターテナーの猫殿と、サックスの須川展也さんの演奏による「軌道エレベーター」。こんな組み合わせ、他ではなかなか聴けないでしょう。水戸で再演の予定もあるそうですが。面白かったです。


 宣伝。「大江戸舞祭」のサイトで、私の編曲した「東京ラプソディ」吹奏楽版CDの購入案内が掲載されたようです。よかったら聴いてみてください m(_ _)m
 吹奏楽コンクールの全国大会・大学の部を聴きに行く。全国大会を聴きに行くのは、実は2回目。中学のときに佐賀県で職場・一般の部を聴きに行って以来、11年振りということになる。
 会場では、吹奏楽の他の作曲家の皆さんと「響宴」以来の再会。久しぶりにお話をした方々が多数。
 12団体中、オリジナル作品で挑んだのが7団体と過半数。編曲作品が主流だった一昔前の大学の部とは大分印象が違いました。

 自分と縁のないバンドの演奏で一番心に残ったのは、東北福祉大学吹奏楽部の演奏。課題曲4で、自由曲が「スイート・エキセントリック」(天野正道)。選曲もいいし、カットがうまい。課題曲の冒頭近くでオルガンのようなサウンドがしていて印象的。銀賞だったのだけれど、私的にはここに金賞をあげてもよかった感じ。
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プロフィール
HN:
NAPP
年齢:
45
HP:
性別:
男性
誕生日:
1978/06/19
職業:
作曲家、のはず
自己紹介:
作曲家。
東京音楽大学・非常勤講師(作曲)。
NHK-FM「吹奏楽のひびき」担当。
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